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はじめに髪型も顔の表情もほとんど同じ2人の子どもの絵を提示した。服装は
どちらも青・緑・茶系統の半袖半ズボン姿とし色や形からは判断しにくいもの
にした。その段階で「どちらが男の子だと思うか」と問いかけたところ,
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3.授業の様子と考察
「じゃあ,どちらか確かめようね。どうしたらいい?」と問いかけたところ
「ズボン脱がないとわからない」と大声を上げた男の子がいて教室は笑いの渦
に包まれた。それでまず上着を1枚とり再び同じ質問をした。
最後に下着を取り払い裸の絵があらわれると「キャー」の歓声や笑い声,
「やっぱりな」等口々に言い放ち教室は騒然。しばらくしてから「きょうは男
の子と女の子について勉強します」と板書。第1の発問である「男の子と女の
子のからだで同じところ・似ているところはどこですか」と問いかけた。
この時はほとんどの子どもが挙手し「口・目・鼻・眉毛・手足」等を答えていた。
「今の発表で,男の子も女の子もからだの外の目に見えるところがみんな同じだ
とわかりましたが,からだの中はどうでしょう」と発問した。
「命を伝える」という言い方が「命を守る」と結びつきこのような漠然とした考
えしか出てこなかったのだと思う。発問の仕方が悪かったなと反省している。
次に第4の発問。「じゃあ男の子も女の子も同じところがたくさんありますが,
1つだけ全然違うところがありますね。どこですか」と聞くとまたまた笑い声。
中には恥ずかしそうに手で口を押さえる女子も見られた。
半分に意見が分かれた。それぞれに理由を言わせると
「赤っぽい色の帽子をかぶっているから男だ」(実際は逆)とか「足の形が
ちょっと違う」などと目に見えるところでのわずかな違いで判断していた。
先ほどと人数が多少変化したものの考えを変える子は少なかった。「おっぱい
も同じだからわからない」との声に「じゃあ今度は悪いけどズボンも脱いで
もらうね」と言うと「キャー!」と大騒ぎ。ところがどちらも同じ形の下着を
着けていた。再び同じ質問。この辺で微妙に迷い始める子が出てきた。
そこで性器について説明。性器は形は違うけれども男女ともにあり,おしっこ
をするだけでなく命を伝えるために大切な役割があること,女の子のおちんちん
はからだの中に隠れていること,赤ちゃんを育てる部屋があることなどを話すと
静かになり真剣に話を聞いていた。最後に
また男の子と女の子のからだを比較したときに(第二次性徴の頃からは他にも違い
は出てくるが今の段階では)性器以外に基本的に男女に違いはないことを知り驚い
ていたようだ。共生教育の観点からも男女が同等であるということ,お互いに
尊重し合っていくことが大切であることを感じ取らせていきたいと思った。
「こんな大切なおちんちんを守るにはどうしたらよいか」の発問には,「事故に
あわないようにする」とか「大切にする」との意見があり,ねらいとするような
返答は得られなかったので教師の方から事例を挙げながら大切なことを知らせた。
これは挙手数がぐっと減ったが何人かが「内蔵がある」とか「骨がある」などと
答えていたので「胃・肺・心臓」などの器官の切り抜き絵を貼り簡単に説明した。
全体的に性に関する授業のわりに落ち着いて話を聞いていたし,授業中に茶化
したり興奮したりする子もなく,非常にやりやすかった。やはり,小さい頃から
系統的に性教育をやることはよいことだと思った。